▼糸井重里さんが主宰するウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」にかつて詩人・谷川俊太郎さんが質問に答えるコーナーがあり、回答集が本になっている。うそが止まらないとの質問に対し、谷川さんは嘘には2種類あると説く

 ▼ばれても感謝されるのが「白い嘘」、恨まれるのが「黒い嘘」。嘘にも技術や工夫が必要で、やぼな嘘もあれば、芸術的な嘘もある。もちろん結論はなく、「心配だったら医者に」と煙に巻く

 ▼NPO法人日本語検定委員会が昨年発表した「日本語大賞」で、最高賞に輝いたのが茨城県の小学1年生、佐藤亘紀こうき君の作文「おとうさんにもらったやさしいうそ」だ

 ▼「おとうさんはちょっととおいところでしごとをすることになったから、おかあさんとげんきにすごしてね」。2歳のとき、父親はそう話した1週間後に白血病で亡くなった。成長した亘紀君はスマホに残る動画を見て、父親の願いを知った

 ▼「おとうさん、うそがばれてるよ! だってまわりにびょういんのどうぐがいっぱいあるし、おとうさんがよこになっているし、めからなみだがちょっとだけでているし、こえがさびしそうだから」。そして「おとうさん、やさしいうそをありがとう」と続く

 ▼高齢者を狙った詐欺事件が相次ぐなか、家族や友人を思う「白い嘘」ばかりなら、世の中はどんなに幸せだろう。きょうはエープリルフール。優しい嘘に包まれたい。