市役所新庁舎・防災拠点センターの建設予定地。旧安中高の建物が残る

 県内の多くの自治体が悩む人口減少は安中市にとっても最大の課題だ。街道のまちとして栄えた安中、松井田の市街地は人が減り続け、空き家が目立つようになった。商店が軒を連ねてにぎわっていた中心街は空洞化が進み、主な商業施設は安中側の国道18号周辺に集中。地域差が大きくなっている。活力ある市街地整備の核になると注目される市役所新庁舎建設については、旧安中高跡地への移転案に反対する意見が根強い。合併特例債の期限が迫る中で、多くの市民が納得できる建設案をまとめなければならない。

 市の統計によると、旧松井田町と合併した2006年の人口は安中、松井田両地区合わせて6万4842人(同年3月末現在)だったが、22年2月末現在で5万5890人となっている。この16年で、およそ14%減少した。

 空き家率(18年)は17.7%で、全国平均(13.6%)を上回っている。旧安中市地区の北陸新幹線安中榛名駅周辺や原市、板鼻地区などで人口増の兆しがあるものの、旧松井田町地区は少子高齢化が進んでいる。松井田東、松井田南の両中学校と、臼井、九十九両小学校が昨年度末で閉校した。子育て世代の支援強化による移住促進や、企業誘致などが求められている。

 老朽化により耐震性が不安視されていた市庁舎の建て替えが昨年10月、防災拠点センターを併設する形で決まった。敷地面積を広く確保できることなどから、旧安中高跡地(同市安中、約1万7千平方メートル)が移転先となった。

 ただ、事前の市民アンケートの結果を見ると、候補地として「現在地」を選んだ市民が43.4%で、旧安中高跡地(40.5%)を上回っていた。移転決定後も現在地での建設に比べて費用がかかるとして、反対する市民は少なくない。

 将来の負担を心配する市民に対し、市は新庁舎建設の財源に基金(21年度末時点で約7億円)などを充てるとしている。24年6月に着工、26年5月ごろの供用開始を目標としているが、財源の一つとなる合併特例債は25年度中の整備完了を期限としており、時間的な余裕はない。

 市は必要な機能などを総合的に検討するため、市民会議を開催し、市民や有識者と議論している。新庁舎は市民の財産となる。より多くの市民から理解を得るためにも、限られた時間の中で説明を尽くす必要がある。