群馬県太田市の「おおた太陽光発電所」で3月末に1300万円相当の銅線ケーブルが盗まれた被害をはじめ、自治体の発電所を狙った窃盗事件が県内各地で相次いでいる。換金が目的とみられ、金属買い取り業者は世界的な需要の高まりによる銅の価格上昇が背景にあると指摘する。一方、自衛を余儀なくされる自治体からは対策の難しさを嘆く声が聞こえてくる。

 「ケーブルは非常に重く、人間の力だけで運び出すのは考えづらい」。おおた太陽光発電所で盗まれたケーブルは長さ2400㍍余り、重さ約7㌧に及ぶ。市脱炭素推進室は重機などを使用した大掛かりな犯行の可能性があるとみる。

 この発電所は2012年に稼働し、2.8㌶の敷地に約1万枚の太陽光パネルを並べている。この時季の売電額は1日約30万円に上るが、盗難により6分の1に減少している。復旧の時期は見通せず、このままでは損害は膨らむ見通しだ。

 同市は昨年7月にも「おおた鶴生田町太陽光発電所」からケーブル計約920㍍(重さ約2㌧、約330万円相当)が盗まれた。相次ぐ被害に、市はおおた太陽光発電所でも防犯カメラの設置などを進める方針という。

 太陽光発電施設に関連した窃盗事件は後を絶たない。県警によると、県内の太陽光発電所を狙ったケーブルなどの盗難被害は2021年に115件発生。今年2月には、みどり市が設置する太陽光発電施設でもソーラーパネルをつなぐケーブル20本(26万8800円相当)がなくなっていることが発覚した。

 県内の金属買い取り業者は、ケーブルの盗難被害は銅価格の上昇と深く関わっているとみる。この業者によると、最近は製造業を中心に世界的に需要が高まり、銅の売買の指標とな

る「建値(相場)」は上昇傾向が続く。21年の年初に1㌧当たり84万円だった建値は、今月6日時点で134万円に上昇。近年の最高水準という。「太陽光発電施設が無人で運営され、夜間だと犯行が人目につきにくいため、狙われやすい条件が整っている」と解説した。

 自治体側は対策に頭を悩ませている。2月に被害を受けたみどり市の施設はフェンスで囲われ、施錠できる出入り口があるのに盗まれた。被害発覚後、市は対策として、人を感知するセンサーライトを設置した上で「監視中」と掲示し、市職員が発電の停止などの異常がないか頻繁に確認するようにしている。市が設置する他の3施設でも同様の対応を取っているという。

 ただ、県内自治体の担当者は、通報を受けて駆け付けても犯人を捕らえられなかった事例があるといい、「どれだけ費用をかけても、絶対という対策はない。結局はいたちごっこ」とため息をつく。太田市の担当者も「警備を強化しても侵入されることもある。どこまで対策を取ればいいか難しい面はある」と打ち明ける。