《論説》就職戦線本格化 肺炎で状況一変、認識を
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 2021年春に卒業する大学生らの就職活動が3月1日から本格化する。新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、すでに合同企業説明会の中止を発表した就職情報会社もあり、例年とは全く異なる就活となる可能性がある。感染防止のため、不特定多数の人が屋内に集まる状況を避けなくてはならず、情報の収集・発信がスムーズに運ばない事態も想定される。学生、企業の双方ができるだけ互いを理解するよう努め、ミスマッチのない就職活動にしてほしい。
 就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京都)は新型コロナウイルスのまん延を懸念し、2月22日~3月31日に予定していた合同企業説明会や就活イベントの中止を決めた。本県を含む44都道府県で計画し、会社説明会の解禁直後の3月2日に前橋市でも予定されていた。学生、参加企業の双方が出ばなをくじかれた形だ。
 本県は産業構造上、普段は法人を相手にする自動車部品メーカーが多数存在する。こうした企業は学生にとって必ずしも身近とは言いがたい。当面の間、合同企業説明会が開催されない事態が続けば、企業側は学生へのアプローチ方法を再考しなければならないだろう。大学ごとに開かれる学内説明会に参加したり、OB・OGを活用して学生と接触を図ったりと、積極的な採用活動が求められる。
 学生側も同様だ。合同企業説明会で効率良く情報収集できた昨年までと状況は一変したと受け止めた方がいい。個別に企業訪問し、希望通りの仕事ができるかを自分の目で確認するなど、行動力が試される年になる。
 今期は採用活動日程の指針を掲げていた経団連に代わり、政府が初めて主導する就活シーズンでもある。日程は前年と変わらず、3月に会社説明会、6月に面接などの選考活動、10月に正式な内定がそれぞれ解禁となる。だが、現実は前倒しが目立つ。就職情報会社「ディスコ」(東京都)が就活中の学生1386人に実施した調査によると、今年2月1日時点で筆記試験や面接などの「本選考を受けた」と回答した人は47・8%で、前年同期を7・9ポイント上回った。「内定を得た」という回答は10・0%(1・9ポイント増)だった。
 ルール破りをどう防ぐかは経団連主導の時からの課題だ。就活時期の前倒しにより、学生の本分である学業に影響が及ばないよう、国は腰を据えて対策を講じるべきだ。
 肺炎問題を受け、三菱UFJ銀行などの一部企業は個別の会社説明会を取りやめた。フリーマーケットサービスを展開する「メルカリ」(東京都)はネット上で採用面接を行うと発表。学生が企業の雰囲気を感じ取ることが難しくなるとみられるが、できるだけアンテナを高くして就活に臨んでほしい。

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