《保育現場のいま 無償化の先に(2)》待遇 人材難 給与改善望む声
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 「子どもの成長を感じられるやりがいある仕事。でも待遇や負担を考えると、葛藤もある」。西毛地域の認定こども園で働く20代の女性保育士は胸中を明かした。

 保育中は子どもから目を離せないため、教材や行事で使う飾りの製作、事務仕事は持ち帰って自宅でこなすしかない。業務の合間を縫って園での様子を伝える保護者への手紙を急いで記す。午前7時~午後7時の保育時間に合わせた早番や遅番のシフトがあるため、自らの家事や育児との両立が難しいとの声も耳にするという。女性保育士はこうした負担に対し「給与水準が低い」と感じる。

 近年、保育現場の人材不足が深刻となっている。その背景に、低水準の給与をはじめとする待遇面の課題が指摘されている。

 厚生労働省によると、保育士の年収は約327万円(2016年調査時点)で、全職種平均に比べて160万円以上も低い。県の19年度の実態調査では、保育士の主な離職理由は「給与が低い」(19・8%)が最も高く、「結婚、出産、介護など」(18・6%)を上回った。

 前橋市の民間の保育園長は「保育中は気を許す時間がなく、給与水準を引き上げなくては人材は離れてしまう」と危機感を抱く。その上で、園単独での待遇改善には限界があり、行政支援による社会全体での底上げを求めている。

 施設側の採用難は深刻だ。県内の保育園や認定こども園が19年度に採用した保育士、保育教諭は計1044人。採用計画を計396人(27・5%)も下回った。不足数は年々拡大している。多くの保育士の配置が必要となる3歳未満児保育の需要が高まる中、人材確保が急務となっている。

 打開策として注目されているのが、現場を離れた潜在保育士。県内では推計1万3千人という。ただ、県が潜在保育士を対象にした調査では、子ども関係への復職希望は約30%、保育園などに限ると約15%にとどまった。保育園などで働かない理由は、結婚・育児・介護との両立の難しさが25%以上で最も高く、2割が給与への不満を挙げた。

 こうした状況に、保育士の待遇改善を望む声が保護者側からも上がり始めた。

 市民団体「みらい子育て全国ネットワーク」(東京都)の昨年のアンケートでは、「子どもや保護者のためにも、保育士の処遇や配置基準の改善を図ってほしい」との声が多く寄せられたという。保育士が安心して働ける環境こそ、保育の充実につながるとの共通認識が生まれつつある。

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