《保育現場のいま 無償化の先に(4)》待機児童 県内「少数」 実態は深刻
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 「待機児童は都内だけの話だけと思っていたが違った。子どもができて初めて実感した」。高崎市の男性会社員は、長女を市内の保育園に預けようとした際に“落選”した経験をこう表現する。

 保育施設への入園に当たり、行政の選考基準では保護者の雇用形態や勤務時間などが重視される。自宅や勤務先との距離、施設の運営方針といった保護者が求める条件とは異なることもあり、希望が通らないことは珍しくない。あてがわれた施設が遠く、きょうだいが別々の施設になることも。送迎の難しさなどを理由に、預けることを断念する保護者もいる。

 「(職場から)遠いと、急に子どもが熱を出しても迎えに行けない」。男性は悩んだ末、通勤を考慮して認可外施設に預けることを決めた。自治体が希望を取りまとめ、施設を振り分ける仕組みに対しては、「保護者の生活の動線を考えてほしい」と訴える。

 厚生労働省の調査によると、子どもを預けられない状態にある県内の待機児童は、2019年4月1日時点で前年より7人少ない21人だった。内訳は新興住宅地の増加を背景として、吉岡町が12人で最多。榛東村7人、玉村町2人と続いたが、これら3町村以外は待機児童ゼロだった。

 ただ、条件が合わずに断念する世帯があっても、定員割れ施設があれば余剰の範囲内は待機児童とはカウントされない自治体もある。求職中の保護者らが「家庭で保育ができる」とみなされ、数に含まれないこともある。実態はより深刻とみられている。

 市民団体「みらい子育て全国ネットワーク」(東京都)の調査によると、こうした統計上の数字には表れてこない「隠れ待機児童」は全国で7万人以上(19年4月時点)。県内では約500人と推計されている。

 「保育園落ちた日本死ね」―。子どもを預けられなかった母親が、やり場のない憤りをインターネット上でつづったブログが国会で取り上げられ、待機児童問題があらためて浮き彫りになってから4年。共働き世帯が増える中で、保育への需要はさらに高まっている。

 厚労省の調査では、19年4月時点の県内の保育園への申込者は4万5836人で、前年より800人以上多かった。定員も拡大傾向にはあるが、必要な保育士を確保できず、想定通りの数の子どもを受け入れられない施設もある。

 育休から復帰する際などに“落選”で苦しまないためにはどうすべきか。保護者が自治体の選考基準を調べたり、希望する保育園を事前に見学したりする「保活」という言葉も一般的になりつつある。

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