《論説》就職内定解禁 情報発信の支援必要
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 政府が主導する来春卒業予定の大学生らの採用活動日程で、10月1日は内定解禁日。例年通りに内定式を開く企業がある一方、オンラインで開催する動きもあり、新型コロナウイルス感染症は就職・採用活動も一変させた。リクルートキャリア(東京都)が発表した9月1日時点の大学生の就職内定率は85・0%と前年同期に比べて8・7ポイント低かった。現状では人手不足に悩む中小企業の採用意欲はそれほど落ちていないようだが、バブル崩壊後の雇用環境が厳しい時期に就職活動をした「就職氷河期世代」と同じような状況を生み出さないよう、就職を希望する学生と中小企業のマッチングを関係者一丸で支援してほしい。
 30代半ば~40代半ばを中心とする就職氷河期世代を巡っては、就職難を背景に、安定した職業に就けていない人や自信を失って引きこもりになった人がいて、今でも大きな社会問題となっている。
 コロナ禍での今年の採用活動。春先からの感染拡大で、合同企業説明会が次々と中止された。個別説明会をオンラインに切り替える企業が目立ち、群馬銀行は会社説明会や面接を全てオンラインで行った。担当者はメリットとデメリットの両面を挙げつつ、「コロナが収まっても、ウェブを活用する流れは変わらないだろう」と採用活動の変化を指摘する。学生が時代に合わせた対策を立てられるよう、大学や就職支援機関にはバックアップを期待したい。
 一方で、9月中旬に高崎市内で開かれた合同企業説明会に参加した製造業者は、会社に部外者を入れられない状況が続き、採用活動が2カ月遅れているとした。ウェブ対応の機器の導入など環境を整えられなかった上に知名度が低いとし、「対面の機会がないと学生に情報を発信しにくい」と難しさを語った。担当者は合同企業説明会の開催に加え、知名度が低くても堅実な事業をしている県内の中小企業の情報が一括で見られるウェブサイトの構築など、学生への情報発信の支援を求めた。
 この合同企業説明会を開いた県中小企業団体中央会の担当者は「人手不足の中小企業は少なくなく、採用意欲が落ちていない企業も多い」と指摘する。高崎商科大キャリアサポート室も、採用活動自体は数カ月遅れになっているが、7月から合同企業説明会が再開したこともあり、内定をもらう学生が増えているとした。
 本県の主力の輸送用機器産業では、業績の急激な悪化で人員整理をする企業も出てきている。企業の採用活動は業績に大きく影響されるため、政府には経済の下支えを期待したい。一方で、学生と企業のマッチングには「ネット」と「リアル」の両面からの支援が必要。政府機関や自治体、業界団体などはこれらをしっかり後押ししてもらいたい。人材を必要とする本県の有力企業はまだまだ多い。来春の就職を目指す学生も最後まであきらめずに頑張ってほしい。

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