《論説》就職・採用活動本格化へ 新しい働き方 模索を
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 政府主導の採用活動日程で、来年春に卒業する大学生らが対象となる企業の広報活動が1日、解禁された。就職支援サイトの運営事業者が続々と合同企業説明会を予定するなど、いよいよ就職・採用活動が本格化する。新型コロナウイルス感染拡大を受け、この1年で飛躍的に頻度が高まったオンライン活用などは、多様な働き方に通じる部分もある。新型コロナがあることを前提とする「ウィズコロナ」の時代を見据え、就活に臨む学生の意識も変化している。企業は、「新しい働き方」を模索しながら学生たちを迎え入れる準備を進めてほしい。
 県内で新型コロナの陽性者が初めて確認されたのは昨年3月。解禁直後の合同企業説明会は、軒並み中止となった。代替としてテレビ会議システム「Zoom(ズーム)」などを使ったオンライン説明会や採用試験が登場した。リクルートキャリア(東京都)が発表した「就職白書2021」では、アンケートへの回答で新卒採用数を「充足」とした企業が「未充足」を上回った。担当者は「ウェブでの選考が進んでいる企業はさらに充足度が高い」と分析する。
 採用活動だけでなく、企業運営でもオンライン活用の波が訪れた。システム開発のクライム(高崎市)は昨年、従業員の7~8割をテレワーク勤務にする取り組みを開始した。また、コロナ以前からキーワードの一つになっていた「働き方改革」に対し、長時間労働の是正や男性の育児休業取得の促進など、正面から向き合う県内企業の挑戦も見受けられた。働きやすい職場環境や、意欲を引き出す社内制度などは学生たちに魅力的に映るはずだ。企業側にはテレワークだけでなく、多様性のある働き方の提示を続けてもらいたい。
 経団連が昨年1月に発表した指針は、デジタル化を推進したり国際競争力を高めたりするため、中途・通年採用の拡大や、職務を明確にして専門性を評価する「ジョブ型」の雇用の活用を促している。コロナ下で、いや応なくオンライン活用を進めた企業もあるだろうが、時代に柔軟に対応する経営が求められている。
 昨年4~11月に都内から本県に転入した人は3898人で、都内への転出者を264人上回ったことが、上毛新聞の集計で分かった。過去10年間における同時期比較で、本県への転入超過は初めて。新型コロナを巡って政府から緊急事態宣言が出され、外出自粛要請が長期化する中、「暮らす場所」として本県を選んだり、関心が高まったりしている結果だろう。
 こうした動きは、県内企業の魅力を多くの若者に知ってもらう好機でもある。オンラインも活用しながら官民が連携し、就活期間中に学生が県内企業と出合える機会を積極的に設けてほしい。これから活動を本格化させる学生たちには、自身で道を切り開くたくましさを就活を通じて身に付けてもらいたい。

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