林業担い手育成 緑の雇用 18年で515人 県内 定着4~5割 向上課題
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 森林整備の担い手を育成する林野庁の「緑の雇用事業」=ズーム=を活用し県内で林業就業者となった人は、2003年度の事業開始から昨年度末までに計515人に上ることが、県への取材で分かった。就業者の減少と高齢化が進む林業だが、同事業が人材確保の面で一定の役割を担っていると言えそうだ。ただ、就業10年後の定着率は4~5割だといい、依然として県は担い手確保に向けた取り組みを模索している。
◎3割は県外出身
 「先人たちが大切に植えた森を守り、多くの人に群馬の木を届けたい」。千葉県出身の藤井元延さん(28)は16年から上野村森林組合(上野村)で働く。同事業の研修では仲間との交流もあり、「視野が広がった」と成果を口にする。現在は建築用の木材の伐採に取り組むほか、チェーンソーの全国規模の競技会に出場し腕を磨く日々だ。
 桐生広域森林組合(桐生市)に就職し、2年目を迎えた埼玉県出身の照島和幸さん(26)も、同事業を活用して森林の伐採や造林などを学んでいる。照島さんは「森林伐採には高い技術が必要。林業従事者としてのスキルを磨き、幅を広げたい」と意気込む。
 県の集計では、03年度以降、同事業を年間十数人から40人前後が利用。これまでに就業した515人のうち、県外出身者が143人と約3割を占め、県外からの人材の呼び込みにもつながっている。
 ただ、同事業を活用した新規就業者の10年定着率は「4~5割程度」(県林業振興課)にとどまるのが実情で、定着率の向上が課題となっている。
 担い手の確保と定着に、県内の関係者は長年悩まされてきた。県内の林業従事者はこの30年間で半数近くまで減少し、直近のデータとなる19年度は670人に。人材不足に伴う森林の荒廃も進み、県内の民有人工林は、伐採適齢期とされる植林後50年を過ぎたものが3分の2に上っている。
 県は本年度から10年間の「県森林・林業基本計画」で、30年度に林業従事者を850人まで増やすことを定めている。ミスマッチを防ぐため「ぐんま林業就業支援研修」の回数を増やして実施するほか、学生を対象とした「森林林業ツアー」も積極的に開催するなどして、若い世代への呼び掛けを強化する方針だ。
 同課は「本県の美しい森林を育て、守る林業の担い手になってもらえるよう、取り組みを進めていきたい」としている。
【ズーム】
 緑の雇用事業 林野庁が2003年度から実施している事業。林業就業に必要な知識や技術を高められる原則3年間の研修期間を設け、林業作業士(フォレストワーカー)としてのキャリア形成を支援する。林業就業経験が原則通算2年未満の人が対象となっており、期間中は就業先に国から助成金が支給される。

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