《オピニオン1000 主張》人口減対策 地方創生の意味再考を CRI中央総研顧問・客員研究員 鈴木 知足さん(72)  
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《オピニオン1000 主張》人口減対策 地方創生の意味再考を CRI中央総研顧問・客員研究員 鈴木 知足さん(72)

 人口減少が大きな社会問題となり、県内市町村でも雇用創出をはじめとする移住・定住推進策を重視した予算を編成している。CRI中央総研顧問・客員研究員の鈴木知足さん(72)は「減少する人口を自治体間で奪い合っている」と指摘し、地方創生の本来の意味を再考すべきだと訴える。

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 全国の知事選も、市町村長選も、公約の1番に挙がるのが人口増対策だろう。人口を増やすのは並大抵のことではない。「ハコモノ」建設、本社や工場、大学の誘致、マンション建設の推進に多くの税金を使ったり、税制優遇制度を設けたりしても“対症療法”に過ぎない。国の政策は「地方創生」のうたい文句で各省庁が競って予算を獲得し、地方自治体に競争させ、その執行に協力させているようにも見える。

 地味でも、必要不可欠な対策に税金を使うべきだ。道路や橋、校舎、上下水道などが耐用年数の期限を迎えている。住民の安心、安全のためのインフラ整備の方が優先順位は高いはず。「造る」「持ってくる」が地方創生ではない。今いる人にとって、どれだけ住みやすい街づくりができるかが鍵。今ある資源を生かして将来をつくることこそ、本当の地方創生だ。

 長年、地域で親しまれた飲食店の閉店が相次いでいるが、そうした特色ある店の後継者を育てていくことも立派な地方創生ではないだろうか。人口が増加傾向にある吉岡町と、隣接して人口が減っている前橋市が連携したっていい。

 市町村レベルで第2子以降の保育料を無料化したり、出産祝い金を出したくらいでは抜本的な対策にならない。国レベルの話だが、少子化対策なら、高校の授業料の無償化よりも、第3子以降は保育園から大学までの保育・授業料を完全無償化にした方がいい。

 金融業界に長く勤め、政財界人と接する機会が今も多いが、東京の人は地方に目が向いていない。一方、地方の業界トップは、さまざまな会合で集まる仲間が固定化していて違和感を覚える。もっと情報を持ち、中央と地方の橋渡しができる人材育成が必要だ。

 厳しい経済状況を反映して、大学進学の地元志向が強まっているが、若い人たちには一度、地元を離れて学び、視野を広げてほしい。県内の大学も地元出身者だけでなく、全国から学生が集まるよう頑張ってほしい。人脈は地方創生の大きな力になる。

(取材・構成 天笠美由紀)

 すずき・ちたる 前橋高―慶応大卒。大手銀行と関連会社に38年間勤め、企画部門や国内営業部門を経験。百日紅(さるすべり)ギャラリー主宰。第17期委員。前橋市

2018・4・15

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