2019/02/09【三山春秋】明治初期、各地に誕生した…
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 ▼明治初期、各地に誕生した製糸場の技術は2系統に分かれる。1870年開業の国内初の洋式器械製糸工場「藩営前橋製糸所」が採用したイタリア式と、2年後に開業した官営富岡製糸場のフランス式だ

 ▼イタリア式は水車動力で小規模工場に適用しやすく、東京や長野の製糸場にも伝わった。ただ小規模だけに現存する資料が少なく、前橋製糸所を含めて工場の実態は不明な点が多いという

 ▼解明につながると期待されているのが、東京農工大科学博物館(東京都小金井市)で2年前に発見された「勧工寮葵町製糸場」の図面。同製糸場は前橋製糸所と同じくスイス人のミュラーが指導したイタリア式で、1873年に現在の東京・虎ノ門付近にあったとされる

 ▼図面は当時の伝習生が描いたとみられる。西洋式製図技法の導入前のため現在の図面とはイメージが異なるが、建物の構造や設備の配置、れんがの積み方などが詳細に描かれている

 ▼同館は3月末まで、企画展「繭から糸を繰る」で図面を展示中。コンピューターで3D画像に復元しようと、3月末までクラウドファンディングで資金を募っている

 ▼実現すれば立体模型製作や設備の復元、前橋製糸所の実態解明などにつながる可能性がある。「幻の製糸場」の具体像が判明し、絹産業の歴史に新たな一ページが加わる日が楽しみだ。

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