2019/02/10【三山春秋】〈平和と命の尊さを後世に…
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 ▼〈平和と命の尊さを後世に伝える証しとして、ここに縁石の一部を移設、保存しました〉。前橋市住吉町2丁目のあたご公園にある「比刀根橋の縁石」の説明板に、こう書かれている

 ▼広瀬川に架かる同橋の歩道にあった縁石で、1945年8月5日の前橋空襲で受けた爆撃の痕跡が残る戦争遺構である。これが危うく失われそうになったのは2009年のことだ

 ▼市の遊歩道改良工事で撤去しなければならなくなった。これを知った地元自治会が何とか保存したいと市と協議。一部を同公園に移し、次世代に向けた平和へのメッセージを記すことになった

 ▼「このような例はまれで、多くは知らぬ間になくなってしまう」。同自治会が運営するあたご歴史資料館で戦争の語り部として活動を続ける原田恒弘さんは言う

 ▼これも数少ない事例の一つだろう。太平洋戦争中の米軍機の機銃掃射による弾痕がある旧上武大橋(伊勢崎市-埼玉県深谷市)の橋桁の一部が、深谷市側の新橋のたもとに残されることになった。両市民でつくる「上武大橋を語り継ぐ会」が管理者である埼玉県などに働きかけたことがきっかけだった

 ▼重要なのは、戦争の記憶を刻印した遺構を守ろうと、市民が繰り広げた地道な調査、保存運動が実を結んだことだ。地元の熱意とそれに応えた同県の決断をたたえたい。

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