2019/03/10【三山春秋】「年とともに先生への…
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 ▼「年とともに先生への感謝が多くなっていきます」。日本文学研究者のドナルド・キーンさんが先月、96歳で亡くなったことを知って浮かんだのは、2016年10月、県立土屋文明記念文学館で行われた講演で聞いた言葉だった

 ▼「先生」と呼んだのは、米コロンビア大学時代に日本学の教えを受けた旧津久田村(現渋川市赤城町)出身の角田柳作(1877~1964年)のこと

 ▼その出会いが、翻訳や著作で日本の文学と文化を世界に広めたキーンさんの偉業のきっかけとなったのだ。「感謝」に込められた思いの深さ、強さが伝わってきた

 ▼印象深いのは、2011年3月の東日本大震災後、被災地で懸命に生きる人々の姿を前にして日本への永住を決意、翌年春、日本国籍を取得したことだ 

 ▼大震災前から国籍取得は考えていた。そんな中、放射能の脅威は理解できるものの、多くの外国人が日本を去っていくことに違和感を抱き、〈今こそ日本人と一緒に居たい〉という思いが強まった(PHP研究所刊『私が日本人になった理由』)

 ▼ニュースになると、日本中から手紙が届いた。否定的な意見も予測したが、「あなたは勇気を与えてくれた」と感謝を表明するものばかりだった。〈私はようやく、仲間として迎えられたと感じ、たいへんうれしく思いました〉。大震災からあすで8年になる。

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