2019/03/31【三山春秋】〈マツクログロノ天カラサ…
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ▼〈マツクログロノ天カラサ…〉で始まる七五調の短文は、激しい夕立の情景をのびやかに、ユーモラスに描いている

 ▼高崎市箕郷町出身の洋画家、山口薫(1907~68年)が旧制高崎中学3年、14歳の時に書いた絵日記である。文章はこう続く。〈大粒小粒ノ真珠ノ玉ガ、シメツタ庭ニ跳ネカヘル(略)龍ガハネタカ、窓ガラス、獅子ガホヘテカ揺スブレタ〉

 ▼絵日記は手のひらに乗る大きさで、日々の出来事や心情をペン画と詩文で生き生きと伝えている。山口の没後、復刻版が『山口薫中学時代絵日記』(煥乎堂発行、絶版)として出された

 ▼〈いくつかはすでに抒情詩、象徴詩とも言えるものになっている〉。山口研究を続ける美術史家の黒田亮子さんは絵日記を高く評価し、こう指摘する

 ▼〈みずみずしい自分の心の世界を伝える一人の表現者、天性の詩人と画家が見いだされる〉(みやま文庫『山口薫-色と形に託した魂の日記』)。詩情あふれる多くの作品を残した山口は、少年期から詩的資質を存分に発揮していたのだ

 ▼「詩人としての山口薫」をテーマにした黒田さんの講演が7日、高崎市のカフェあすなろである。文化の砦と呼ばれた名曲喫茶「あすなろ」をしのぶ「あすなろ忌」の一環。詩人、画家、音楽家たちがジャンルを超えて交流した場である。山口の詩魂に改めて触れたい。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事