2019/04/04【三山春秋】大泉東小近くに住む…
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ▼大泉東小近くに住む酒巻義雄さん(86)の喜びは、通学する中学生や高校生からあいさつされることだ。生徒が自分を覚えていてくれることが何よりもうれしい。同校開校以来、続ける防犯パトロールの成果に違いないと思っている

 ▼昨年は愛妻が脳梗塞を患い、看病のためパトロールに出る機会が減った。春を迎え、幸い妻は歩けるまでに回復した。パトロール活動は36年目に入る

 ▼酒巻さんは13年前、健診で大腸がんが見つかり、手術を受けた。学校には伝えなかったが、一人の児童が酒巻さんの不在に気付き、その後、多くの児童からお見舞いの手紙をもらった。入院先のベッドの上で風呂敷包みほどの手紙の束を見て涙が止まらなかった

 ▼防犯パトロールとともに16年前から、読み聞かせにも参加する。当時の校長から「戦争体験を子どもたちに語ってほしい」と依頼されたことがきっかけだった

 ▼ちょうど74年前の1945年4月4日、小泉郵便局付近に米軍の爆弾が落とされた。国民小学校6年だった酒巻さんは自宅庭の防空壕(ごう)で難を逃れた。だが、直撃を受けた料亭「喜久屋」の防空壕では三十数人が亡くなった

 ▼遺体は戸板に乗せられ、近くの寺に運ばれた。「ずらっと遺体が並べられた光景が忘れられない。戦争は二度とあってはならない」。平和を願い、自身の体験を伝え続ける。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事