2019/04/25【三山春秋】〈いろいろな遺跡を見ていますが、…
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 ▼〈いろいろな遺跡を見ていますが、(略)人骨がよろいを着たまま倒れているのはありえないこと。(略)すごい場面に立ち会えたと思いました〉

 ▼2012年11月、渋川市の金井東裏遺跡で1500年前の「甲を着た古墳人」の人骨が見つかったときの驚きを、県埋蔵文化財調査事業団の発掘担当者がこう表現した

 ▼「世紀の発掘」と言われた同遺跡の研究成果を同事業団がまとめた『古墳人、現る-金井東裏遺跡の奇跡』(上毛新聞社刊)を読んで、新たな事実が発表されるたびに胸を躍らせたことを思い出した

 ▼識者の多面的な分析で、いかに画期的な出来事だったかということも再認識できた。同時に教えられるのは、それ以前から先達の研究者により、火山災害の多い群馬県ならではの発掘調査が着実に続けられてきたことだ

 ▼浅間山、榛名山などの噴火によって堆積物に覆われ残された例は数多い。同市の「黒井峯遺跡」(国指定史跡)、「中筋遺跡」(県指定史跡)もまた、榛名山噴火で被災した建物や集落が保存された極めて貴重な遺跡である

 ▼同書の座談会にこんな発言がある。〈(事業団などの)火山災害を考古学的に探究するという調査視点(略)、その方法や調査成果の蓄積があった〉。空前の発見のためには、現代の防災にも大きな教訓をもたらす災害考古学の積み重ねが不可欠だったのだ。

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