2019/05/23【三山春秋】詩、音楽、演劇、舞踊などに関わる芸術家たち…
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 ▼詩、音楽、演劇、舞踊などに関わる芸術家たちの結集を呼び掛ける記事が上毛新聞に掲載されたのは1926(大正15)年3月のことだった

 ▼筆者は前橋市出身の詩人、萩原恭次郎(1899~1938年)。〈芸術に精進し、新しい芸術を理解し、研究する〉ために「上毛綜合芸術協会」を設立し、文化運動を繰り広げようという内容である

 ▼活動の手始めとして5月に「芸術祭」が前橋の演芸場で開かれた。企画、進行は全て恭次郎が中心。宣伝のため詩人たちが仮装して市内を練り歩き、当日は上毛マンドリン倶楽部の演奏をはじめ、詩の朗読、創作舞踊などが演じられ、300人もの観客を沸かせた

 ▼前橋では前例のない取り組みは結局一回で終わるが、恭次郎は当時、なぜこのような仕掛けに情熱を注いだのか。前年の25年には第1詩集『死刑宣告』を出版している。大小の活字を配置した前衛的な編集、激烈な詩表現は詩壇に大きな衝撃を与えた 

 ▼そんな芸術革命を経て創作意欲が高まるなか、理想とする総合芸術運動を実現させようとしたのではないか。音楽、写真、デザインでも才能を発揮した同郷の先輩詩人、萩原朔太郎からの刺激もあったろう

 ▼きょう23日は恭次郎の生誕120年に当たる。優れた農民詩も含め、その詩業は古びることなく、私たちに新鮮な驚きを与え続けている。

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