2019/06/08【三山春秋】江戸時代の浮世絵師、…
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 ▼江戸時代の浮世絵師、歌川広重といえば「東海道五十三次」が浮かぶ。江戸から京都まで、道中の風光明媚(めいび)な場所や宿場の様子を捉えた代表作。中でも雪の夜の静寂が伝わる「蒲原」や地面をたたく雨音が響いてきそうな「庄野」が傑作とされる

 ▼「木曽海道六十九次」「名所江戸百景」などの名作を残した初代広重だが、作品の一つに「伊香保八景」があるのをご存じだろうか。徳冨蘆花記念文学館(渋川市伊香保町)で開催中の浮世絵展で作品に触れた
 
 ▼湯元や榛名の山々などを季節感と動物などを交えて描き、伊香保を詠んだ万葉集歌が添えられた8枚ぞろい。「関屋の雲」は石段街の下の辺り、「高根の鹿」は榛名湖へ向かう展望台付近と、それぞれが現在のどの辺りなのか教えてもらった

 ▼広重が伊香保を訪れたという正式な記録はないものの、絵と当時の風景がよく似ていることから、同館は「実際に来て描いた」と推察する
 
 ▼八景の選定時期は分かっていないというが、万葉集に登場するように古くから名所として知られていた。見える景色は変わっても、人を引き付ける力は変わらない

 ▼伊香保は今、緑に包まれている。新緑の「河鹿橋」をライトアップするなど新たな魅力も発信中だ。広重が現代の伊香保を訪れたら何を題材に選ぶだろう。自分だけの八景を探して歩くのもいい。

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