2019/06/16【三山春秋】「国難のときこそ、『遠望するま…
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 ▼「国難のときこそ、『遠望するまなざし』が求められる」。東日本大震災から2年後の2013年、前橋市出身の評論家、思想家の松本健一さん(1946~2014年)がインタビューでこう述べた

 ▼戊辰戦争に敗れ荒廃していた越後長岡藩の復興のため教育事業に力を尽くしたという、「米百俵」の逸話で知られる小林虎三郎の姿勢を言い表した言葉だ

 ▼苦境のなか、人づくりという時間のかかる改革を進めた虎三郎の真意を、松本さんは「子弟を教育することで、あるべき政治の方向を考えることができる人材を育てられると考えたから」ととらえた。そして大震災はもちろん、大きな節目においても不可欠な姿勢だと説いた

 ▼「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界文化遺産登録から21日で5年となる。同製糸場の18年度の入場者数は初年度の4割を下回ったという。しかし数字ではとらえにくい、民間団体や関係自治体、県などが保全・継承のために繰り広げてきた活動の充実ぶりには目を見張るものがある

 ▼その原動力となったのは、登録運動のなかで生まれた地域への自信と誇りである。人類の宝を未来につないでいくために、担い手の高齢化、多額な修復費などさまざまな問題を抱える

 ▼克服するには登録後の蓄積を基に、50年、100年先を遠望した取り組みに知恵を絞る必要がある。

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