2019/08/04【三山春秋】その大きな地図を開くと、いつも胸が…
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 ▼その大きな地図を開くと、いつも胸が締め付けられる思いがする。1945年8月5日夜、B29の爆撃で535人もの命を奪った前橋空襲の被災状況と復興の経過を詳細に記録した『戦災と復興』(64年、前橋市発行)の付録「前橋市戦災図」である

 ▼市街地の8割が焦土と化した実態を目に見える形で伝えるため、空襲で焼かれた場所が赤色で塗られている。ここまでひどかったのか-。何度も見ているのに、そのたびに新たな衝撃を受けてきた

 ▼甚大な被災地から少し離れたところにも、色づけされた地点がある。状況は同書に「上三俣の惨状」と題して記された。それによれば、同所(現在の三俣町3丁目)の商店の倉庫が焼夷しょうい弾で炎上、あたり一面が、昼のような明るさになった

 ▼このため市街地などから避難していた人たちが米軍機に発見されて爆撃を受け、死者約70人、負傷者120人にものぼる惨事となった

 ▼倉庫が激しく燃え上がったのは軍事用の重油、ガソリンなどが大量にあったためだ。軍需省から割り当てられ、空襲の2日前に入庫したばかりだったという。戦争の無残さに慄然りつぜんとする

 ▼あの夜からあす5日で74年となる。戦災図が教えてくれるすさまじい被害を決して風化させてはならない。悲劇の記録を受け継ぎ、次代へと伝えることの重要性は、時を経てますます高まっている。

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