2019/08/11【三山春秋】鉛筆や水彩絵の具で描かれた家々...
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 ▼鉛筆や水彩絵の具で描かれた家々、田畑の上空では、米軍機B29の編隊が旋回し、その1機から落とされた焼夷弾で倉庫が赤々と燃え上がっている

 ▼1945年8月5日の前橋空襲で約70人もの犠牲者を出した上三俣(現前橋市三俣町3丁目)の被災状況を伝える縦横1.8メートルの絵地図である。先週、本欄でこの空襲を取り上げたところ、地元の方から、貴重な記録があるという情報が寄せられ、見せていただいた

 ▼描いたのは同所で生まれ育った内川英夫さん(83)だ。当時9歳で、激しい爆撃や被災者の惨状を目の当たりにして、強いショックを受けたという

 ▼絵地図作りに取り組み始めたのは5年ほど前から。前橋空襲について、周囲で知る人がわずかになり、「このままでは、忘れ去られてしまう」との危機感を抱いたためだった

 ▼今も鮮明な記憶と商店をしていた実家に残された領収証などを頼りに、戦中の上三俣地区の住宅や工場、道路、川、樹木などを細かく描写したうえで、空襲の実態とその説明を加えていった。地区主催の絵画展でこの一部を展示したことがあるが、「まだ未完成」で、自宅書斎の壁に張り出し、思い出したことを補足し続けている

 ▼手づくりの絵地図には、若い人たちに戦争の恐ろしさを何としても伝えたいという、内川さんの切実な願いが込められている。

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