2019/08/15【三山春秋】今年3月に亡くなった人類学者の…
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 ▼今年3月に亡くなった人類学者の楢崎修一郎さん=高崎市=は県立自然史博物館の開設に携わったほか、太平洋戦争による海外戦没者の遺骨鑑定の第一人者として知られた。遺骨収集事業で訪れた北マリアナ諸島テニアン島で急逝したという。60歳だった

 ▼本紙オピニオン委員を務め、3年前には遺骨収集事業に関する投稿記事が連載された。2010年に厚生労働省人類学専門員に就任し、20回以上の遺骨収集に加わった。昨年、活動をまとめた『骨が語る兵士の最期』(筑摩選書)を出版した

 ▼遺骨収集に携わるきっかけは、1992年にパラオ共和国ペリリュー島の洞窟調査への参加だった。この時は許可が下りず幻に終わった。93年から高崎に居住したが、同島で高崎15連隊の2大隊が玉砕したことを踏まえ、「高崎15連隊の英霊に呼ばれた」と述懐している

 ▼人は肉体が滅んだ時と、誰もその人を顧みなくなった時の2回死ぬとして、戦没者を「2度死なせない」を信念に活動。本紙連載のタイトルにもなった

 ▼先の大戦での海外戦没者は240万人と推定され、このうち遺骨を収集できたのが128万人。いまだに112万人分は戦地などに残されている

 ▼「終戦の日」を迎えた。祖国への帰還を待つ戦没者にも思いを巡らし、戦争の悲惨さと平和の尊さを次世代に受け継ぐ必要がある。

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