2019/09/01【三山春秋】〈文化財の中で最も消滅するおそれ…
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 ▼〈文化財の中で最も消滅するおそれがある〉。民俗芸能をそうとらえた郷土史家の萩原進さん(1913~97年)は、終戦を迎えた時、群馬の郷土芸能を徹底的に調べることを自身に課した

 ▼県内各地に足を運び、人形芝居や地芝居について精力的に調査研究を重ねるなか、戦中から休止状態のケースに出合うと、関わる人に再興を懇請した。これがきっかけで廃絶を免れ、継承につながったことも少なくなかった

 ▼そんな経験を通して実感したのが伝承者の役割の大きさだった。〈地味であり世の注目をあびることの少ない分野〉にもかかわらず、〈灯を守ってきた人たちが残っていたために、再興につなげることができた〉と強調した(みやま文庫『群馬の郷土芸能 上』)

 ▼渋川市赤城町の「上三原田歌舞伎舞台操作伝承委員会」が、「サントリー地域文化賞」に選ばれた。200年の歴史をもつ舞台の維持、操作技術の継承に住民が一体となって取り組んできたことが評価された

 ▼地域文化の発展に貢献した個人、団体を顕彰するこの賞の対象となったのは、まさに伝承者の努力の蓄積である。時代ごとに多くの困難があったが、途切れさせまいという住民の使命感により守られてきた

 ▼同じように苦労しながら伝統文化の継承に取り組む人たちにとっても、大きな励みになるのではないか。

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