2019/12/06【三山春秋】〈菜の花や月は東に日は西に〉と...
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 ▼〈菜の花や月は東に日は西に〉と与謝蕪村が俳句に詠んだ月はどんな月か。こんなクイズに、しばし考え込んだ。「西に太陽が、東に月があるとき、太陽と地球、月がほぼ一直線に並ぶ。地球から見て、月は全面が照らされるので答えは満月です」。県立ぐんま天文台職員に教えてもらった

 ▼春ならおぼろ月、秋なら中秋の名月。古来より月は日本人の心を捉えてきた。いま筆者の心を捉えて放さないのは「ぐんま名月」。本県生まれのリンゴである

 ▼例えるなら遅咲きの苦労人だろうか。母は「あかぎ」、父は「ふじ」。いずれも赤く容姿端麗なのに、なぜか黄色く見てくれが悪かった。売れないと、最初は果樹農家から相手にされなかった

 ▼だが外見より中身が大切なのは人もリンゴも同じ。甘く、蜜が入ってジューシー。手間の掛かる葉摘みが不要で、落果も少ない。“気立て”の良さが認められ、1992年ごろから栽培されるようになった

 ▼今や大人気に。直売所やファンからの注文で売り切れてしまうから市場に出ず、店頭で見かけるのは他県産の「名月」である

 ▼群馬のリンゴはかつて全国を目指したが、市場競争に敗れた過去がある。そこで目指したのが消費者の求めるオンリーワンのリンゴ。次に出番を待つのは「紅鶴べにづる」。朱色で酸味が爽やか。来季あたりから秋の味覚に加わる。

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