2020/01/24【三山春秋】数年前の夏、県立日本絹の里...
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 ▼数年前の夏、県立日本絹の里(高崎市)で蚕の飼育セットを購入し、小学生の子どもたちと飼育に挑戦した。日中、親は仕事、子どもは学童で留守になる。猛暑で蚕が死んでしまうのではないかと心配だった

 ▼エアコンをつけて外出するか迷ったが、一番涼しそうな部屋に蚕を入れた段ボール箱を置いて出掛けた。人工飼料を与え、ふんの掃除をして、日々、成長を見守った

 ▼大事な命を預かった気がして、12匹全て繭になったときはほっとした。養蚕農家の苦労や蚕をいとおしむ気持ちの一端を理解できた

 ▼県内の繭生産量は2019年度、前年度比12%減の35.99トンで戦後最少を更新した(16日付本紙)。高齢化による養蚕農家の減少だけでなく、猛暑など異常気象も影響している

 ▼そうした中で、県蚕糸技術センター(前橋市)は暑さに強い、新しい蚕品種を育成した。9番目となる県オリジナル品種は「なつこ」と名付けられた。今年7、8月の初秋蚕期から農家に供給される。猛暑でも、通常の品種に比べて高品質を維持し、1割以上多く収量できるという

 ▼14年に「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界文化遺産に登録されて今年で6年。生きた蚕糸業をどう残すのか。これからが正念場だ。「なつこ」の実用化によって、養蚕農家の経営安定と繭の収量増につながることを期待したい。

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