2020/03/30【三山春秋】15日に亡くなったハンセン病元患者、…
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 ▼15日に亡くなったハンセン病元患者、藤田三四郎さん(94)は上毛新聞「ひろば」欄の“常連”だった。幼少時の思い出や療養生活をつづった文章には重みがあり、居住まいを正して読んだ

 ▼昨年2月に掲載された投稿は、1949年にキリスト教の洗礼を受けた経緯を書いている。「外なるものは敗れても、内なるものは日々新たなり」という聖書の一節を挙げ、この言葉が心のよりどころになったと述べている

 ▼「ひろば」欄を真情を吐露する場と考えてくれたのかもしれない。三四郎という名前が夏目漱石の同名小説からとった偽名であることも明かしている

 ▼本名は時男。「大きくなったら時の人になるように」と父親が付けてくれたが、「いまだに残っている偏見や差別のため、親からもらった本名を使うことができないのが現状です」と訴えた

 ▼大切にした言葉は「一生青春、一生勉強」。小学校を卒業するとき担任の先生からはなむけとして贈られたそうで、「花を手折ることは易しいが、困難なのは忍耐強く育てること。それは一生を支える力になる」との言葉とともに生涯忘れなかった

 ▼茨城県で生まれたが、ふるさとに帰ることはできず、〈らい園に生きて旅路の六十年〉と詠んだ。〈故里の土の香りの母の味〉とも。旅路の果て、天国で父母の胸に飛び込めただろうか。

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