2020/04/03【三山春秋】NHKの長寿番組「みんなのうた」で...
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 ▼NHKの長寿番組「みんなのうた」で聞いたお気に入りの1曲は誰にもあるだろう。「山口さんちのツトム君」や「大きな古時計」、最近なら「パプリカ」か。時代を超えて歌い継がれている曲は多い

 ▼「アンパンマン」の作者、やなせたかしさんが作詞した「手のひらを太陽に」もその一つ。卒業・入学シーズンの定番は〈ぼくらはみんな生きている/生きているから歌うんだ〉で始まる。歌うことは生の証しと、生命賛歌は伝えている

 ▼例年なら学校の体育館やホールに歌声が響く春である。友や恩師との別れを惜しむ合唱曲や、まだ慣れぬ新しい校歌を歌うことで、音と情景が結び付き、節目を彩る瞬間として焼き付けられる

 ▼そんな光景が一変している。名前を呼ばれても返事はなし、合唱や校歌もない卒業式が県内各地で開かれた。「せっかく練習してきたのに」と肩を落とす子どもたち。入学式も静寂と緊張に包まれそうで切ない

 ▼新型コロナウイルス感染症の終息が見えない。合唱だけではない。コンサートが中止・延期を余儀なくされ、カラオケやライブハウスの利用自粛も要請されている。歌声のない生活はいつまで続くのだろうか

 ▼「みんなのうた」が放送開始60年を迎える来年4月には、〈生きているから笑うんだ〉と大声で歌いたい。その時に備え、ぐっと声をのみ込む春だ。

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