2020/05/30【三山春秋】群馬県をはじめ4県にまたがる…
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 ▼群馬県をはじめ4県にまたがる渡良瀬遊水地は野鳥の楽園だ。ヨシ原ではオオヨシキリの大合唱が響き、ササゴイやヨシゴイの姿を見ることができる。いま注目を集めているのがコウノトリ。愛鳥家がひな誕生を心待ちにしている

 ▼親鳥は千葉県野田市生まれの雄「ひかる」と徳島県鳴門市生まれの雌「歌」。営巣地のある栃木県小山市によると、2羽は3月に運命的な再会を果たし、熱烈な求愛が実って結ばれたという

 ▼コウノトリは翼を広げると2メートルにもなる。かつて日本各地に生息していたが、乱獲や生息環境の変化で姿を消してしまった

 ▼早くから保護活動に取り組んでいた兵庫県豊岡市は1965年からコウノトリを捕獲して、人工繁殖を試みた。だが、うまくいかないまま繁殖年齢を過ぎ、死んでしまった

 ▼85年に当時のソ連から若鳥6羽が贈られた。するとペアができ、24年目にして初のひなが誕生した。繁殖は軌道に乗り、2005年には放鳥による野生復帰も始まった。現在、野外に173羽が生息。ときおり群馬県にも飛来し、羽を休める姿が目撃されている

 ▼禅の言葉に啐啄そったくがある。「啐」はひなが内から殻を、「啄」は親鳥が外側からつつくこと。転じて、逃してはならない好機を意味する。遊水地のコウノトリもそろそろひなが殻をつつく頃。親鳥の気持ちになってそわそわする。

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