2020/06/04【三山春秋】NHKの連続テレビ小説「エール」は…
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ▼NHKの連続テレビ小説「エール」は作曲家、古関裕而ゆうじさんをモデルにした夫婦の物語だ。その名を知らなくとも、高校野球の大会歌「栄冠は君に輝く」なら誰もが知っているに違いない

 ▼1909年、福島市の呉服商の家に生まれた。父が買った蓄音機で浪曲や吹奏楽を聴いて育ち、独学で作曲を始めた。21歳の時、山田耕筰の推薦でレコード会社専属の作曲家になった

 ▼楽器は使わず、頭に浮かんだメロディーを五線譜に。早稲田大応援歌「紺碧こんぺきの空」や東京五輪の行進曲「オリンピック・マーチ」など生涯に5000曲以上を手掛けた

 ▼群馬県関係では「伊香保ヨキヨキ」や「新曲とりたり節」「沼田天狗ばやし」などの新民謡を作曲した。だが「前橋音頭」は市民に定着しないまま、後に春日八郎の「お富さん」を手掛けた作詞家、山崎正らによって新たに作り直された

 ▼人生に影を落としたのは、数多くの軍歌を手掛けたことだ。♪勝って来るぞと勇ましく―で始まる「露営の歌」、特攻隊が愛唱した「若鷲の歌」。軍歌のことを尋ねられると言葉少なにうつむいた

 ▼晩年は作曲から離れ、山々の風景をよく描いた。「風景を見ていると音楽が湧いてくる」と話したが、再び音符を書き記すことはなかった。国民に愛された数々の名曲を残し、昭和が終わるのを見届けるようにこの世を去った。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事