2020/07/02【三山春秋】椅子に腰掛け、1枚の絵画に向き合う...
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 ▼椅子に腰掛け、1枚の絵画に向き合う。他に誰もいない空間。意識は作品に引き込まれ、描かれた川の音や、煙突から吐き出された煙の向かう先を想像する。心が緩んでいくような心地よい時間を過ごした

 ▼渋川市美術館で開催中の「市収蔵作品展 1×1+1=(ワン・バイ・ワン・プラス・ワン)」を訪れた。展示室を七つに仕切り、一つの区画に1点を展示、1人で鑑賞するスタイルが話題になっている

 ▼学芸員の須田真理さんは「こうした見方もあったのか、と好評をいただいている」と話す。コロナ禍で、予定の美術展が中止になったのを受け、以前から構想していた「空間を生かした展示手法」を形にした

 ▼人との距離の確保や3密回避が求められ、芸術文化活動も制約を受けた。ただ美術鑑賞は、大勢が集まるイベントに比べると密になりにくい。「今の状況を表すメッセージになる」と確信したという

 ▼4月上旬に設営したものの約1カ月半、臨時休館が続いた。6月1日に再開し、作品展も「恐る恐る」(須田さん)スタートした。当初はチラシも用意しなかったが、反響は予想以上だった

 ▼災害などが起きたとき、美術は無力なのか、と感じることが多かったという。だが、今回は大きな手応えを得た。美術は特別なものではなく、生活と共にある。そんな思いも込めている。

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