2020/07/09【三山春秋】十数年前だが、生後4カ月の娘の...
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 ▼十数年前だが、生後4カ月の娘の高熱が続いたことがあった。受診しても原因は分からず、おろおろするばかり。やがて発疹、眼球の充血、いちご舌などが現れ、血液検査の末に「川崎病」と診断された

▼病名は小児科医、川崎富作さんの名に由来する。主に4歳までの乳幼児がかかり、2018年の患者数は1万7364人。本県は277人だった

▼初めて病気に気付いたのは1961年のこと。学会で発表したが注目されず、月給の6倍を支払ってカラー写真入りの論文を出版。小児科学会で意見交換のためのシンポジウム開催を提案したが、東大教授は新たな病気を認めないばかりか、議論も許さなかった

▼幸運は研究費申請のため、厚生省(当時)を訪ねたところから。書類を提出するだけでは駄目だと一計を案じ、朝から責任者が出勤してくるのをドアの前で待った。現れたのは加倉井駿一参事官。突然の来訪を嫌がることなく招き入れ、話に耳を傾けた

▼当時最高額の研究費が認められると、全国的な調査を実施した。すると死亡例のあることも分かり、病気の解明と治療法の開発につながっていった

▼原因はいまだ不明だが、血液製剤の免疫グロブリンを投与することで、多くの患者が治癒する。川崎さんが先月、95歳で亡くなった。患者の親の一人として、心より冥福を祈りたい。

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