2020/07/11【三山春秋】歌人の斎藤茂吉は1920年1月に…
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 ▼歌人の斎藤茂吉は1920(大正9)年1月にスペイン風邪にかかった。〈はやりかぜ一年ひととせおそれ過ぎ来しが吾はこやりてうつつともなし〉。高熱に激しいせき、肺炎を併発して生死の境をさまよった

 ▼起き上がれるようになるまで1カ月以上。短歌結社アララギ同人の島木赤彦に宛てた手紙に〈下熱後の衰弱と、肺炎のあどが、なかなか回復せず、いまだ朝一時間ぐらゐセキ、たんが出てて困る〉とつづっている

 ▼スペイン風邪は18~20年に世界で大流行した。上毛新聞も当時の状況を伝える。〈悪性感冒益猖獗ますますしょうけつす。官署や学校工場、花柳界まで侵入。火葬場に於いては棺桶を積置きて間に合はざる有様〉(18年10月30日付)。深刻な状況が伝わる

 ▼医師は〈細菌は鼻咽喉粘膜から血液中に進入し発病する〉として、気道粘膜の保護、うがいと消毒の励行、患者の隔離を訴えた。病原体はウイルスだが、当時は細菌と考えられていた

 ▼東京都で10日、新型コロナウイルスの感染確認が243人に上った。2日連続で過去最多を更新しており、もはや「第2波」とみるべきだろう

 ▼経済活動とコロナ対策の両立を進める政府は、医療体制に問題はないとして緊急事態宣言の再発令を否定するが、違和感はぬぐえない。スペイン風邪は第2波で死亡率が跳ね上がった。学ぶべき歴史は100年前にある。

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