2020/08/06【三山春秋】桐生から最先端のテキスタイル...
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ▼桐生から最先端のテキスタイルを世界に発信したのが3年前に亡くなった新井淳一さんだ。「コムデギャルソン」の川久保玲ら日本人デザイナーのパリ・コレクションを陰で支えた

 ▼もとは演劇好きの文学青年。進学して文学や哲学を学びたかったが、カスリーン台風で自宅の機屋が壊滅。あきらめて家業を継いだ

 ▼図案や織りを地元の職人から学んだ。だが作品が品評会でグランプリに輝いても、自分の評価は上がらない。やめようと思っていた時に紹介されたのがブレーク前夜の山本寛斎だった

 ▼新井さんが提供した布で服を作ると、あっという間に完売した。やがてデザイナーから注文が来るようになり、独創的な布はファッション・ショーを通じて欧米に紹介された。日本よりも海外で評価され、布の専門家が複雑な織りの構造を解き明かそうと研究した

 ▼代表作が「布目柄」。織物を複写機で読み取り、自然な感じにつなぎ合わせた。だが、この布がデザイナーの三宅一生と決別するきっかけになった。「どんな服を作っても新井淳一の服にしかならない」。存在感がデザインを超えていた

 ▼「繊維をアートに引き上げた」として国際繊維学会から表彰され、海外で展覧会が相次いだ。桐生市の大川美術館で9月27日まで、地元で初となる展覧会が開かれ、世界を席巻した作品を紹介している。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事