2020/09/12【三山春秋】先の台風10号は九州全域を暴風…
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 ▼先の台風10号は九州全域を暴風圏に巻き込んだ。予想される最大瞬間風速は70メートル。過去最強クラスに発達する恐れがあるとして、気象庁は早めの避難を呼び掛けた

 ▼筆者は東日本大震災で「釜石の奇跡」と呼ばれた防災教育を実践した片田敏孝さん(当時群馬大大学院教授)を取材したことがある。「防災とは食料備蓄や避難所の整備ではない。自分の命を守り、家族から一人の犠牲者も出さないことこそが本質だ」と教わった

 ▼そんな中で直面したのが昨年10月の台風19号だった。わが家は高崎市郊外の烏川近くにある。川との間には田畑しかなく、洪水浸水想定区域に指定されている。数年前に堤防が整備されたが、沢があるため途切れ途切れ。頼りないことこのうえない

 ▼猛烈な雨が降り続き、12日午後3時35分に避難勧告が出た。2階からは濁流が見える。だがこの時点で台風はまだ遠くにあり本番はこれからだった

 ▼床上浸水を覚悟して、1階にあった家財道具をすべて2階に上げ、車を高台に移動した。でも不動産とはよく言ったもので、築10年の家は動かせない。運を天に任せるしかなかった

 ▼夜になって烏川は氾濫危険水位を超えた。居ても立ってもいられず見に行くと、濁流は堤防の下まで届いていた。運良く被災は免れたが、どうすることが正解だったのか。今も答えが出ない。

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