2020/09/19【三山春秋】旧群馬町出身の歌人…
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 ▼旧群馬町出身の歌人、土屋文明の母校、高崎上郊小を訪ねた。校長室には肖像写真が飾られ、文明が〈青き上に榛名を永久とはの幻に出でて帰らぬ我のみにあらじ〉と記した色紙が大切に保管されていた

 ▼同校では2011年度から、歌壇を代表する著名人を招き、短歌の授業を行っている。ことしの講師は宮中歌会始選者を務める今野寿美さん。児童が「水」をテーマに詠んだ作品の良いところを挙げながら、丁寧に講評した

 ▼歌人や俳人には子どもの頃に作った短歌や俳句を褒められたことがきっかけになったという人が多い。褒めてもらうこと、良き師との出会いがいかに大切か分かる

 ▼文明は2人の師に恵まれた。1人は旧制高崎中学の教師で、歌人、俳人でもあった村上成之。才能を見いだして伊藤左千夫に紹介し、上京のきっかけをつくった

 ▼左千夫は友人に学費の援助を頼み、文明を高校、大学に通わせた。在学中に芥川龍之介や菊池寛ら文学を志す仲間と出会い、才能を伸ばしたのは左千夫のおかげだ

 ▼県立文学館(高崎市)で生誕130年となる文明の「若き日」に焦点を当てた企画展が開かれている。副題は「あまた人々の恵みあり」。短歌結社「アララギ」同人の島木赤彦や斎藤茂吉との出会いも文明を磨き上げた。その草創期を彩った豊かな巡り合わせにしばし思いをはせた。

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