2020/10/25【三山春秋】小説家で詩人の佐藤春夫は…
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 ▼小説家で詩人の佐藤春夫は全国の大学や小中高校の校歌を数多く作詞した。本県でも館林高や群馬高専、旧富岡東高の作詞を手掛けた。〈自由の子 民主の民ぞ〉で始まる渋川高の現校歌もその一つだ

 ▼旧制中から新制高に移行した昭和20年代半ば。校歌制定に動いたのは生徒たち。在校生から詞を募ったが秀作がなく、全校生徒からの募金を手に依頼したという逸話が残る

 ▼歌いだしの〈自由〉が作用しているのだろうか。渋川市美術館・桑原巨守彫刻美術館で開催中の同校出身作家展「榛嶺しんれいの学舎に育った作家たち」を訪れ、多彩な作品に引き込まれた

 ▼出品したのは1948年卒~97年卒の37人。絵画や陶芸、彫刻にとどまらず、映画、写真、コピーライティング、環境デザインと幅広い。テレビコマーシャルで印象深い作品もあり、驚く来場者も少なくない

 ▼同校で32年間、美術を指導する下田紀史さん(78)は生徒の気質を「昔も今も純朴で、時代が変わっても校歌にある〈心素直に〉は健在」と話し、教え子たちの活躍を教師冥利みょうりに尽きると喜ぶ

 ▼今回の企画は同校の創立100周年を記念して実現した。実行委員会が想定した倍の作家が集まったというから、クリエーター同士の新たなつながりも生まれただろう。これを着火点に、枠にとらわれない自由な芸術の芽が出ると面白い。

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