2020/11/16【三山春秋】高崎市中心街を貫く…
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 ▼高崎市中心街を貫く「シンフォニーロード」に、青い旗がなびいている。「第九」と白く染め抜かれた太い文字。運転中も次々と目に飛び込んでくる

 ▼旗は1カ月後のコンサートを告知している。高崎芸術劇場で群馬交響楽団がベートーベン「交響曲第9番」を奏で、高崎第九合唱団が歌う。年末の恒例行事で、今年は大作曲家の生誕250年に当たるが、演出の方法は例年とずいぶん変わってくるらしい

 ▼新型コロナウイルスの影響を受けたものの一つが歌うという行為だろう。合唱はその最たるもので、群響と各地の合唱団による第九は中止が相次ぐ。高崎があえて挑むのは群響を生んだ「音楽のある街」の誇りに違いない

 ▼練習会場を訪ねると、歌いやすいよう工夫したマスクを着けたり、客席を舞台代わりに使ったり、細心の注意を払って本番に臨むことが分かる

 ▼先日、市内で地元合同葬が行われた中曽根康弘元首相は、旧制高校の寮でクラシック音楽に親しんだ。ベートーベンをよく聴き、第九の「歓喜の歌」をドイツ語で歌うことができると晩年のインタビューで語っている

 ▼冒頭に紹介した旗の色はコロナ対応で献身的に尽くした医療従事者への感謝を示しているという。価値観や生活スタイルが一変した今年。歓喜の歌が人々の背中を押すように、コンサートの成功を祈りたい。

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