2020.11.22【三山春秋】幼いころから親しんできた...
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 ▼幼いころから親しんできた銘菓をもう味わうことができないのか。24年前に感じた寂しさがよみがえった。前橋名物「片原饅頭まんじゅう」を復刻し製造販売していた店が先週、閉店したという

 ▼前橋市の中心市街地で160年以上にわたって営業していた「片原饅頭志満屋しまや本店」が後継者不在のため、惜しまれながら店を閉じたのは1996年だった

 ▼何代にもわたって市民に愛された前橋土産の定番であり、最後は熱烈なファンが殺到した。その味を忘れられず、復刻に取り組んだのが元競輪選手の福島正幸さんだった。志満屋にいた職人頭に教えを受けて何年も試行錯誤を重ね、8年前に商標登録し本格的に製造販売を始めた

 ▼本当に再現できたのだろうか。当時、半信半疑で口にしたところ、大好きだった味を受け継ごうという作り手の揺るぎない意志が伝わってきた。以後、食べるたびに、残してくれたことへの感謝の気持ちがわいた

 ▼しかし手間を惜しまぬ製造は生易しいものではなかったろう。福島さんが年を重ね、これ以上の継続は難しくなったことから閉店を決めたのだという

 ▼こだわりを貫いた姿勢に心から敬意を表したい。名物復活の挑戦は、伝統を守ることの大切さと困難さを教えてくれた。今、継承できる人材を求めているという。懐かしい味を失いたくない。切実にそう思う。

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