2020/11/23【三山春秋】今年3月に亡くなったハンセン病…
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 ▼今年3月に亡くなったハンセン病元患者の藤田三四郎さんが「三四郎豆」と名付け、栗生楽泉園(草津町)を訪ねてくる“孫たち”に振る舞った料理がある。大きな花豆を甘くふっくらと煮た煮豆のことだ

 ▼「じいちゃん」と慕ってやってくる人々に食べさせるため、毎年30~40キロを煮た。皮が厚いため、じっくり火を入れないと皮が破れてしまうが、電気ポットを使って上手に調理した

 ▼正確にはベニバナインゲン。県内では長野原町や嬬恋村などの高原で栽培されている。和菓子の甘納豆や最中に加工され、草津温泉の土産としても人気がある

 ▼5月下旬に種をまくと、夏に赤い花が咲く。8月下旬から収穫が始まり、豆は3~4センチと目を見張る大きさ。紫色の下地に黒いはんが入っており、昔は「おいらん豆」とも呼ばれた

 ▼収穫のために何度も畑を回り、乾燥、選別、袋詰めと出荷までに手間がかかる。なのに今年は不作。生産者は「雨が続いたり、日照りが多かったりして商品にならない。例年の3分の2採れればいい方」と嘆く

 ▼正月に煮豆にする家庭が多く、産地では赤飯に入れたり、塩ゆでして野菜サラダに添えたりする。筆者の同僚にも「三四郎さんの孫」がいて、こたつを囲みごちそうになったそうだ。「やわらかくて甘過ぎず、本当においしかった」。手間暇かけた優しさの味だろう。

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