2020/11/26【三山春秋】釣りのことを書いて読ませるといえば…
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 ▼釣りのことを書いて読ませるといえば作家の夢枕獏さん。無心に楽しんでいるように見えて、実は誰よりも大きな魚を、誰よりもたくさん釣りたいと願う釣り師の本音を正直に披露する

 ▼イカを釣っていたら、名人級の腕前を持つ青年がやって来た。隣同士で腕の差を見せつけられるほど釣り師にとって悔しいことはない。獏さんは神に祈った。〈なにとぞ先に1パイ釣らせて。釣れないなら平等で寛大な運命を二人にお与えください〉

 ▼釣りの名人上手はあまたいるが、川を語らせていま一番熱いのが両毛漁協組合長の中島淳志さんだろう。10年前、全国最年少の38歳で就任。桐生、みどり両市の渡良瀬川水系を、魚影が濃く、安全に楽しめる場所にしたいとの一心だった

 ▼「キャッチ&リリース」区間の導入をはじめ、元気な稚魚を育む「親魚放流」、カワウとの共存を探るシンポジウムなどを次々と手掛けた

 ▼国土交通省や水産庁と渡り合い、河川環境の改善を訴えた。釣り仲間でもある組合員が活動を支え、テレビや雑誌に登場する著名な釣り人が情報発信に協力した

 ▼大人が川遊びをしなくなったために、川の魅力を知らない子どもが増えていることを心配する。先日、たくさんの親子を渓流に招き、水生昆虫を育む落ち葉の役割、魚の生態を説いた。その情熱が川の豊かさを支えている。

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