2020/12/13【三山春秋】前橋市本町の馬場川通り沿いに…
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 ▼前橋市本町の馬場川通り沿いに、ツタで覆われた木造の家があった。かつて画家、南城一夫(1900~86年)が住んでいた建物だ。詩情あふれる作品の数々がここで描かれている

 ▼20年ほど前、まち歩きの催しでその存在を知ってから、通りを歩くたびに画布に向かう画家の姿を想像した。いつしか建物は壊されたが、その土地を含む一角が緑豊かな空間へと生まれ変わった

 ▼300年以上の歴史を刻み廃業した旅館が大改修され、「白井屋ホテル」として12日、開業した。建物は2棟あり、利根川の土手をイメージした「グリーンタワー」の外壁は芝生で覆われ、小高い丘のようだ

 ▼敷地内や客室に備えられた国内外の美術家たちのアート作品、趣向を凝らした内装に圧倒された。官民一体でまちの活性化に挑む取り組みの一環だという。すぐに結果の出る事業ではないだろう

 ▼この風景を前にして南城の作品をもう一度見たくなり、生誕120年記念展が開かれる県立近代美術館(高崎市)に足を運んだ。青年期から晩年までの画業で特に60~70代の、郷土や人々への温かいまなざしが伝わる作品に強く引かれた

 ▼〈世俗の名声を求めぬ悠々たる詩情〉。大川美術館(桐生市)の設立者、故大川栄二さんがこうたたえた。納得のいくまで 美を追求した仕事は、じっくりと人々の心に染み透っていく。

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