2020/12/17【三山春秋】ことしも残すところ2週間…
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 ▼ことしも残すところ2週間。年を取ると月日は転がるまりのようで、1年があっという間に過ぎてゆく。年賀状の投函とうかんも始まった。喪中欠礼のはがきが届くと、故人を直接知らずとも一つの人生が幕を下ろしたことへの感慨が湧く

 ▼高崎市美術館で開催中の展覧会「時代ときへの花束」は、収蔵作家で過去5年間に亡くなった11人を紹介している。職業柄、お会いした人も何人かおり、当時の思い出がよみがえった

 ▼その一人が高崎市出身のグラフィック・デザイナー佐藤晃一さん。デザインに初めて日本的な要素を取り入れ、広告と不可分のポスターを芸術の域に高めた

 ▼3次元の世界を2次元に置き換えようと、箱をモチーフに試行錯誤した。縁をぼかした箱の中に浮かぶこいを描いたポスターで注目され、活躍の場を広げた

 ▼晩年に取り組んだのが俳画ならぬ「俳グラ」。〈山ほどの水平線の地球かな〉。40歳のころに作った俳句をイメージして描き、現代アートに昇華させた。会場では画業の一端を振り返ることができる

 ▼開館から長く館長を務めた巣山健さんも2年前に亡くなった。「消えるようにいなくなりたい」という本人の希望で、闘病や逝去すらしばらく知る人はいなかった。公私に親しくさせていただいたため、美術館を訪れると面影が浮かんで切ない。哀悼の花束をささげたい人だった。

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