2020/12/21【三山春秋】山の楽しみ方は登るだけでなく…
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 ▼山の楽しみ方は登るだけでなく、自然からの恵みをいただくことにもある。春は山菜、秋ならキノコ。紅葉を終えた木々が葉を落とした冬、山遊びの達人たちが楽しんでいるのは自然薯じねんじょ掘りだ

 ▼日本原産の野生種で、江戸時代の本草学者、貝原益軒は「山より出るを自然生と云ふ、味最も良し(中略)腎を補ひ脾胃を益す虚人久しく服すべし」と薬効を記している

 ▼自然薯掘りを一度体験してみたいと、連れて行ってもらった。向かったのは高崎市内の里山である

 ▼枯れた自然薯のツルはやぶの上の方まで伸びている。慣れると簡単に見つかるが、難しいのはここから。枯れているため切れやすく、根元までつながっていないことが多い。ツルをたどって場所を推理し、自然薯とつながった根元の一節を落ち葉の中から探さねばならない

 ▼見つかってからも一苦労。縦横に走る木々の根を切断しながら掘り進むが、土の中にはスコップを阻む石がごろごろしている。自然薯も真っすぐには伸びていない。3時間かけて2本を掘り出したが、長さは肩まで穴に入れて届いた70センチほど。残念だが先端は欠けてしまった

 ▼1メートルを超すような大物を折らずに掘り出すのは根気と労力がいるが、難しいだけに喜びは大きいのだろう。〈相悪き自然薯にして旨かりし〉能村登四郎。苦労した分、味は格別だった。

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