2021/02/12【三山春秋】立春を過ぎてなお、寒さが残る。…
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 ▼立春を過ぎてなお、寒さが残る。余寒見舞いを添えて、友人にひざ掛けを贈った。体温で暖まった空気を蓄える羽毛入りだ。寒さが苦手な筆者は、羽毛布団に薄い真綿の掛け布団を重ねて寝る。足元に湯たんぽを忍ばせれば、朝まで熟睡できる

 ▼長い間、真綿は植物の綿だと思い込んでいたが、煮た繭を引き伸ばして作る。かつて「綿わた」といえば絹だった。日本に木綿が伝わった後、“真の綿”から呼び名を「真綿」と変えた

 ▼養蚕が盛んな群馬県だが、邑楽館林地域の織物は絹でなく木綿。桑の木もめったに見かけない。邑楽町のかすりは「西の大和絣、東の中野絣」と言われた。館林つむぎ唐桟縞とうざんしまの模様に特徴がある

 ▼綿の中から種を取り出し、弓に張った弦で綿を弾いて繊維をほぐした後、糸車で糸を紡ぐ。アイの葉、アカネの根、クサギやクチナシの実などの植物染料で糸を染め、手機にかけてゆっくりと織る

 ▼気の遠くなるような手仕事が、板倉町文化財資料館の一角で伝承されている。町で文化財保護に携わっていた女性たちが、農家の納屋の隅に片付けられていた手機を組み立て、「板倉紬」として教え広めている

 ▼土地の風土や伝統の中で育まれた素材や道具を使って、生活に必要なものを生み出す。コロナ禍で自宅時間が増え、その豊かさに気付いた人も多いのではないだろうか。

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