《コロナ禍》苦境に新ジャンル開拓 
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疫病退散の願いを込めた「アマビエ」こけし

 東京五輪・パラリンピックに伴うインバウンド(訪日外国人客)の増加を見込み、2019年末には工房が量産態勢に入っていた。「来年は稼ぎ時だ」と活気づいていたが、年明けからの新型コロナウイルス感染症の流行で、状況は一変した。
 ここ数年、インバウンド需要の急増によってこけしが売れ、冬の観光オフシーズンがなくなったので工場稼働の平準化が図れるなど、業界は好調だった。それだけに海外からの入国禁止の影響は甚大だった。
 出荷量は前年度比5割程度まで落ち込んだ。20人以上の従業員の自宅待機状態が続き、同業者も売り上げは8~9割減といった状況だった。東日本大震災の時も厳しかったが、コロナの方が先が見えないので苦しい。
 活路を開くために、国内需要の掘り起こしに努めた。人々を疫病から救うとされる妖怪「アマビエ」をモチーフとしたこけしを販売したり、感染防止のため屋外に絵付け体験ブースを設けたりした。
 そんな中で開かれた今年の全群馬近代こけしコンクールには、昨年を56点上回る288点が出品された。例年よりもアート性は高く、アニメのキャラクターをモチーフにした作品など多彩なこけしがそろった。
 出品作からは、厳しい状況でも創作意欲を失わず、新たなジャンルを開拓しようとする組合員の気持ちがひしひしと感じられた。収束後には、こうした努力が生きてくると信じている。
2021/02/16掲載

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