2021/02/16【三山春秋】誰にでも心に残る恩師はいるだろう…
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 ▼誰にでも心に残る恩師はいるだろう。出会いは偶然かもしれないが、将来を左右するほど大きな影響を受けることがある

 ▼〈顧みて私の後のすべての日本学研究は、先生の講義を聞いたころからすでに芽生えていた〉。2019年に96歳で亡くなった米国出身の日本文学研究者、ドナルド・キーンさんは著書『日本との出会い』に記す

 ▼「先生」とは旧津久田村(現渋川市赤城町津久田)出身の角田柳作(1877~1964年)。米コロンビア大で日本学を教え、日本研究の第一人者となる多くの人材を育てた。同著では〈コロンビア大学ではセンセイと言ったら角田柳作先生のこと〉とも紹介されている

 ▼筆者がキーンさんを取材したのは2008年夏だった。角田の足跡をたどる連載企画で、東京都北区の自宅を訪ねた。当時86歳でありながらコロンビア大で教壇に立ち、一年の半分を日本で過ごす多忙な日々を送っていた

 ▼インタビューは1時間近くにわたったが、角田の薫陶を受けた学生時代について丁寧な日本語で語ってくれた。最後に「もう一度、講義を受けたいですか」と問い掛けると、「はい」と笑顔で即答したのが印象的だった

 ▼キーンさんの命日は今月24日。多くの人に愛された偉大な知日派の業績を振り返るとともに、「日本学の父」と慕われた上州人の功績をしのびたい。

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