2021/02/21【三山春秋】加齢とともに不安になることがある。…
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 ▼加齢とともに不安になることがある。人の名前が思い出せないのは序の口で、持っている本を古書店で買ってしまったり、映画のラストシーンで、一度見たことに気づいたりする

 ▼ミスも増えた。銀行のATM(現金自動預払機)で現金を取り忘れた。駐輪場で隣の自転車のタイヤに空気を入れてしまったこともある。知らずに乗った人は驚いたことだろう

 ▼「今日は何年の何月何日ですか」「100から7を順番に引いてください」。認知症診断の「長谷川式スケール」を開発した医師の長谷川和夫さん(92)は4年前、自らの認知症を公表した

 ▼認知症は誰もが向き合うもので、むやみに怖がる必要はないことを伝えたかったという。認知症になって分かったこともある。突然、人が変わるわけではない。昨日まで生きてきた続きの自分がそこにいる

 ▼認知症の本質は「暮らしの障害」と指摘する。着替えたり、片付けたり、当たり前のことができなくなる。だから上手に付き合うしかない。誰もが認知症になる可能性がある。それを受け入れる寛容な社会が大事だと説く

 ▼厚生労働省の推計では「団塊の世代」が全員75歳以上となる2025年には700万人が発症する。本県は11万人以上。だからこそ長谷川さんは力を込める。「何も分からなくなるのではない。心は生きていることを知ってほしい」

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