2021/02/22【三山春秋】実業家・渋沢栄一を主人公にした…
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ▼実業家・渋沢栄一を主人公にしたNHK大河ドラマ「青天をけ」が始まった。初回放送で養蚕と藍玉づくりを営む生家に飾ってあったのが「猫絵」。蚕を食い荒らすネズミを追い払う魔よけとして信仰された

 ▼ネズミの害は新田義貞一族の怨霊によるとの俗信があり、嫡流とされる新田岩松氏の描く猫絵は特別な効果があるとされた。江戸後期から明治にかけての歴代当主は「猫絵の殿様」と呼ばれた

 ▼犬と猫のどちらが好きか。仲間うちでよく交わされる話題だが、「猫かわいがり」という言葉があるくらいだから猫派が優勢か。きょう2月22日は鳴き声のニャン、ニャン、ニャンの語呂合わせで「猫の日」である
 
 ▼有名な猫と言えば、夏目漱石の『吾輩は猫である』に登場する猫だろう。雨戸が開くと、鳴きながら家に上がり込んできた野良猫がモデル。初めは追い払っていたが、福猫で家が繁盛すると言われ飼い始めた

 ▼効果はてきめん。漱石は一躍、人気作家となった。しかし夏目家の人々に猫をかわいがるという意識はなかった。猫に名前はなく、墓標には「猫の墓」。裏には〈この下に稲妻起る宵あらん〉と光る目を稲妻に例えた句が添えられた

 ▼漱石の死後、夏目家では何匹も飼ったが、もう幸運は訪れなかったという。だが日本文学にとってはこれ以上ない福猫だったと言えるだろう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事