2021/02/23【三山春秋】未熟な身なので同じ失敗を…
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 ▼未熟な身なので同じ失敗を繰り返すことが多々ある。二日酔いもそう。朝、もう酒は飲むまいと思うが、意志の弱さかすぐに忘れる。同じ後悔をした同士は多かろう

 ▼その点、前橋市出身の詩人、萩原朔太郎には親しみが湧く。泥酔した翌日には、〈忌忌しい悔恨を繰返さないやうに、断じて私自身を警戒するであらう〉(『宿酔の朝に』)と自らを戒め、二度と酒場を訪れないと誓う

 ▼エッセーでも酒や酒場への愛をつづった朔太郎だが、今なら飲みすぎなかったろう。新型コロナの影響で県都の中心街が静まり返っている

 ▼酒場の明かりは消え、千鳥足の酔客もいない。昨年来客足が減っていたところへ、1月12日から酒を提供する飲食店に営業時間短縮が要請された。前橋に限らず、閉店や業態転換を迫られた店は多い

 ▼杯を交わすことなく新年会シーズンがすぎ、歓送迎会の季節を迎える。時短要請していた9市町のうち前橋や高崎などは23日に解除されるものの、人出の急回復は望めない。飲食店は先の見えない状況が続く

 ▼朔太郎は朝の誓いを忘れ、夕には街が恋しくなる心情を記している。〈また新しい別の酒場の中に、酔った幸福を眺めさせる。思へ、そこでの電灯がどんなに明るく、そこでの世界がどんなに輝やいて見えることぞ〉。反省なく二日酔いできる日常が待ち遠しい。

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