2021/02/28【三山春秋】上野三碑かるたに「龍になり榛名湖…
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 ▼上野三碑かるたに「龍になり榛名湖守る木部の姫」という札がある。伝説には諸説あるが、あらましはこうだ。山上碑にほど近い高崎市木部町には戦国時代、木部城があった

 ▼城主の木部範虎のりとらは箕輪城主の長野業政なりまさの娘を妻とした。甲斐・武田軍の上州侵攻で範虎は城と運命を共に。木部姫は箕輪城に向かったがこちらも炎上していた。たどり着いた榛名山で夫や父母の死を悲しみ、身を投げた。木部姫は龍となって湖の主となり、侍女たちはかにになって仕えているという

 ▼榛名山を望む風光明媚めいびなこの地に一目ぼれしたのが美人画で知られる竹久夢二である。1919(大正8)年夏に初めて訪れた。湖畔を吹き渡る涼風と鮮やかな緑が心をつかんだのだろう。やがて榛名を描いた作品を次々と発表するようになった

 ▼たびたび本県を訪れるようになり、30年5月に芸術家が集い素朴な日用品を作る「榛名山美術研究所」建設を宣言した

 ▼同時にアトリエ建設に着手。息子・不二彦に宛てた手紙には〈山の方のだんどりはどうだ〉〈はやく逢つて山の様子をききたい〉と心待ちにする様子がうかがえる

 ▼アトリエは完成したが、研究所構想は翌年からの外遊と病気のため幻に終わった。県立館林美術館で3月21日まで、企画展が開かれている。作品から榛名山へのあふれる愛情が伝わってくる。

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